女性のからだとその働き
子宮
子宮は、骨盤腔の中央に位置し、下方には膣と繋がり、上部左右両側は卵管と繋がっている。
子宮は、その周囲を子宮広間膜でおおわれ、子宮円索・基靭帯・仙骨子宮靭帯・膀胱子宮靭帯
・卵巣固有靭帯などの支持組織によって支持されている。
子宮は、解剖学的に子宮底部・子宮体部・頸管部の三つに分かれているが、機能的には子体
部と子宮底部とは殆ど差はない。
子宮内膜
子宮内膜は、基底層・海綿層・緻密層の三つに区分される。基底層は殆ど変化しない。海綿層と
緻密層は、機能層と呼ばれ、月経周期により変化し、月経時に剥脱する。子宮内膜は、排卵を
境にして増殖期と分泌期に分かれる。この周期的変化は、卵巣から分泌されるエストロゲン・プロ
ゲステロンなどのステロイドホルモンが制御している。増殖初期には子宮内膜は非常に薄いが、エ
ストロゲンの作用を受け、内膜腺上皮・間質細胞の分泌増殖は著明となり、増殖期後期になると
10mm前後に達する。内膜血管も増殖伸張し、螺旋状となる。分泌期初期の内膜の変化は、核下
空胞と呼ばれ、腺上皮の基底部に近い方に胞状の分泌物が出現する。中期から後期にかけて核
は、基底部に移動し、分泌作用が強くなり、腺胞の拡大と間質の浮腫化が見られるようになる。
月経
月経は、子宮内膜の脱落によって起こる生理的な子宮出血である。正常な生理周期では分泌期
を経た内膜が、卵巣黄体の白体化に伴い、プロゲステロンの分泌量が減少することにより螺旋動脈
の消退とともに脱落する現象である。無排卵性の場合は、エストロゲンの作用により、子宮内膜の
増殖が過度になり子宮動脈が破綻することにより起こる。
月経血は、通常100g程度で、その中に子宮内膜・分泌液が含まれる。月経血は一度、子宮内で
凝固し、その後、プラスミンなどの作用によって溶解されるため、あまり凝固しないが月経血量が
非常に多い時には、凝結塊も伴う。
月経時黄体の白体化に伴うプロゲステロン産出の減少・骨盤の充血・乏血などにより乳房の腫張
・下腹部重圧感・腰痛・めまい・頭痛・眠気などが現れる。
卵管
卵管の子宮の左右両壁から出ている8〜14cm程度の臓器。卵管は、解剖学的に間質部・狭部
・膨大部・采部に分かれる。卵管壁は、内腔側から、粘膜・筋層・漿膜の3層に分かれる。また、筋層
は、内層・中層・外層の三つに分かれている。
卵管の粘膜上皮は、単層円柱上皮で、繊毛細胞と粘膜分泌細胞がある。排卵前には、繊毛細胞
の増殖・発達が活発になり、高温期つまり分泌期には、分泌細胞の割合の方が多くなり、細胞内の
グリコーゲンの量も増す。月経周期に伴い卵管上皮のたけも変化し、排卵直前には最も高くなり、月経
時には低くなる。
卵巣
卵巣の大きさは、親指の頭大で重量は、およそ5g〜6g。楕円形で灰白色を呈している。卵巣の
大部分は、腹膜におおわれてなくて、骨盤底に露出している。一部、子宮間膜が卵巣を囲み、卵巣
間膜を形成している。卵巣間膜縁の部分は、卵巣門と呼ばれ、血管・リンパ管・神経が通っててる。
卵巣は、組織学的には、皮質と髄質に分けられる。皮質は卵巣表面から2/1〜3/1の部分で、
卵胞や黄体が存在する。髄質は、卵巣の中心を占めている。卵巣の表面は、胚上皮と白膜からなる
皮膜によっておおわれている。
月経と貧血の関係
鉄欠乏性貧血
正常の体内の鉄の総量は、3000mg〜4000mgで、約70%は血色素としてヘモグロビンの中
に含まれる。
25%は、フェリチンとして骨髄・脾・肝臓に貯蔵され、残り5%は、組織鉄となっている。
鉄欠乏の第一段階は、貯蔵鉄の減少。この時期は、血清鉄・ヘモグロビン濃度は正常である。第二段階
は、血清鉄が低下し貯蔵鉄が枯渇、造血に十分な鉄が供給されなくなる。第三段階になると、鉄欠乏が進
み、ヘモグロビン濃度が低下した鉄欠乏性貧血となる。
鉄欠乏性貧血の診断
小球性低色素性貧血を示し、血清鉄の低下と総鉄結合能の増加(鉄飽和率の低下)、血清フェリ
チンの低下、骨髄の鉄芽球の減少、鉄総結合能の上昇なども参考にする。悪性腫瘍・感染症も血清鉄
が低下するが、総鉄結合能も低下するので、その鑑別は可能である。
治療
ヘモグロビン値、11g/dl未満を病的な貧血して治療の対象としている。臨床成績では、フェロミア
が消化管からの吸収もよく、低胃酸状態・食後投与でも吸収阻害が少なく、胃粘膜に対する刺激や食事・
お茶による吸収への影響も少ないという報告がある。
性器出血
性器出血とは、月経以外のあらゆる病的な出血の総称である。
性器出血には、月経以外の不正性器出血として、妊娠・分娩・産褥に関係する産科的出血と非妊娠性の
出血に大別される。
非妊娠性出血は、外傷・炎症・腫瘍などの性器の器質的病変による器質的出血とこれを除外した内分泌
系の変調、出血性素因、ホルモン剤の服用(医原性)などに起因する機能性子宮出血に分類する。
参考図書
(日本評論社 『からだの科学』増刊 雨森良彦編 PREVENTION CURE AND
CARE SERIES 女性の病気 ISBNコード T1002396112205
定価2200円(本体2136円)より抜粋しました。)