ダナゾール含有徐放ゲルの効果ほか
子宮内膜症に対する新たな薬物治療の開発
--子宮内膜症モデルにおけるダナゾール含有徐放性ゲルの効果--
金沢大学 医学研究科 分子移植学
野村 一人 篠原 一朝 村上 弘一 生水真紀夫 井上 正樹
(目的)
新たな生体内分解性薬剤徐放システムを用いた子宮内膜症に対する治療法を考案し、
副作用の低減と有効な薬理作用の発現をめざした局所薬物治療法の開発を試みた。
(方法)
ヒアルロン酸を基剤とした徐放性ゲルを作成し、これにダナゾールを1mg/ml、10mg/mlの
濃度で含有させた。ラット子宮内膜を切離し、腹部皮下に移植して内膜症チョコレート嚢胞体
積の変化、嚢胞モデルを作成した。内膜症嚢胞の内容液を除去し、同体積のダナゾール含有
ゲルを注入し、注入後の嚢胞体積の変化、嚢胞の組織学的変化を検討した。さらに性周期の
変化と投与中の血中および嚢胞組織内のダナゾール濃度をHPLCで測定した。
(成績)
ダナゾール含有ヒアルロン酸ゲルは、ヒフルロニターゼ(10IU/ml,37゜C,pH4.5,PBS)溶液中
で経時的に一定速度で分解し、分解の線速度(mm/day)はゲル含水率を変化させることで調
節可能であった。ゲルの分解量とダナゾールの放出量はほぼ一致していた。ラットの内膜症嚢
胞の組織所見では、嚢胞内の出血、嚢胞内壁の子宮内膜上皮、間質のヘモジデリン沈着をみ
とめた。
ダナゾール含有ゲル注入後の嚢胞体積はコントロール(未処置)群(n=5)を100%として、投
与後1,2,3週間目で、ダナゾール非含有ゲル群で105%,92%,85%,ダナゾール1mg/mlゲル群で
は65%,52%,52%,ダナゾール10mgゲル群では60%,45%,30%,卵巣摘出群では62%,53%,30%へと
それぞれ減少した。
ダナゾール非含有ゲル群では治療期間中に嚢胞内の再出血がみられたが、ダナゾール含有
ゲル群では嚢胞内の出血をみとめず、子宮内膜上皮の萎縮をみとめた。ダナゾール含有ゲル
投与期間中の性周期は正常であった。嚢胞組織内ダナゾール濃度は2〜40ng/g,血中ダナゾ
ール濃度は測定感度(0.1ng/ml)以下であった。
(結論)
子宮内膜症に対するダナゾール含有徐放性ゲルの局所投与法の有効性が示唆された。
( 社団法人 日本不妊学会 日本不妊学会雑誌 第48巻第3・4号
2003年10月1日発行より抜粋掲載しました。)
子宮内挿入リング(レボノルゲストレル放出型IUD)
特徴
外来で簡単に挿入可能である。粘膜下筋腫では無効なこともある。保険適応外。
合成黄体ホルモンの一つであるレボノルゲストレル放出型IUDはT字型IUDにピル効果を
重ねたものである。1日あたりレボノルゲストレル20μgを7年間にわたり定常的に放出する
ことにより、子宮内膜は黄体ホルモン様作用を受けて著しく菲薄化し、過多月経の治療になる。
適応は、子宮筋腫や子宮腺筋症などである。レボノルゲストレルでは、排卵抑制に1日50μg
以上の投与を要することが知られており、このIUDでは排卵抑制は見られない。
※ 避妊用として治験中です。(注;管理人)
( 医学の世界社刊 「産婦人科の世界」Vol.55 No.9 2003.9
定価 1,995円 27(991)ページ
過多月経の鑑別診断と対策 小堀 宏之 武内 裕之 木下 勝之
順天堂大学医学部産婦人科
(〒113−8421 東京都文京区本郷2−1−1)より抜粋掲載しました。)