子宮腺筋症の超音波診断
秦 幸吉氏 (香川県保健医療学部看護学科
秦 利之氏 (香川大学医学部医学科周期学婦人科学)
| 経膣超音波診断法の導入により、子宮・卵巣が解像度が高い鮮明な画像として描出できるようになった。そのため、子宮腺筋症が特異的な超音波像を呈することが明らかになったきた。本稿では、まず初めに経膣超音波走査法による子宮・卵巣の描出法について説明した後、子宮腺筋症の超音波像についてわかりやすく解説する。 |
はじめに
子宮内膜症・子宮腺筋症の確定診断は、腹腔鏡あるいは開腹術による視診、さらに細胞診によって
なされる。しかしながら、実際の臨床における通常の診断手順としては、問診、内診、直腸診を行い、超
音波診断法、CT、MRIなどの画像診断、さらに腫瘍マーカーとしてのCA125などの臨床的診断、あるい
は補助診断により治療を開始していることが多い。
本稿では、超音波診断法、特に経膣超音波診断法による子宮内膜症・子宮腺筋症の診断につい
て解説する。
1.経膣超音波の基本
子宮・卵巣は、女性骨盤腔内の比較的後尾側に存在するため、その描写には、経膣走査法では腹
壁上から子宮・卵巣までの距離的関係から超音波周波数を制限せざるえず、そのため、解像度にも限
界があった。1980年代の後半から産婦人科領域に導入されるようになった経膣走査法では、探触子
を膣円蓋部に接して操作できるため、近位描写に適した高周波数超音波を使用でき、子宮・卵巣は経
腹走査法に比べはるかに解像度の高い鮮明な画像として描写することができるようになった。そのた
め、現在では婦人科領域の超音波診断は経膣走査法を中心として行い、その距離分解能を超えるよ
うな大きな腫瘍の場合には、経腹走査法を併用する。
1)正常子宮の描出法
経腹走査法では、被検者の膀胱を尿または生理食塩水で充満させ、腸管を圧排してからでない
と、正常子宮の描写は困難であった。経膣走査法を用いると、膣円蓋部に探触子を挿入し、探触子
の方向を調節すると容易に描出できる。
2)正常卵巣の描出法
従来の経腹走査法では、正常子宮を描出する場合と同様で膀胱充満法が必要であった。さらに、
正常卵巣の描出は子宮のそれより困難であった。探触子を膣円蓋部に挿入し腸骨血管の走行を
明らかにすれば、卵巣は容易に腸骨血管上に同定できる。時に腸管像が描出の妨げとなる場合や
腸管像と紛らわしい場合が、そのようなときは、探触子を持たない側の手(通常左手)で腸管を圧
迫して移動させれば卵巣は描出できるようになる。特にこの方法は、閉経後の患者において有効
である。
2.子宮腺筋症
超音波診断装置の解像度が乏しい時代、特に経膣超音波法の導入以前には、子宮筋腫と子宮
腺筋症を鑑別するのは困難で、両者の診断は、子宮の不正な腫大、膀胱充満法で子宮の膀胱腔
内への突出などの間接的な所見であった。経膣超音波の導入より、その両者の鑑別が可能となっ
てきた。
子宮腺筋症は、子宮内膜組織の子宮筋層への侵入および周囲筋層の反応性増殖により特徴づ
けられている。子宮腺筋症の特徴的な超音波所見は、子宮筋層のびまん性肥厚と筋層内の小嚢胞
状陰影であり、正常筋層との境界は、不明瞭である。
(株式会社 秀潤社 画像診断 Vol.25 No.2 2005 02
定価 本体2200円+税 ISBN4-87962-995-2 C3347
特集子宮内膜症・子宮腺筋症入門 P147〜P152より
抜粋、掲載しました。)