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    UAE(子宮動脈塞栓術) 

★ 医学書院刊

 2003年 Vol.57 No.7
『臨床婦人科産科』 Clinical Gynecology and Obstetrics

   UAE−子宮筋腫塞栓療法

  定価(本体2,500円+税) 雑誌09329−7
  T1109329070004


  UAEを受けようと考えている人は、是非、お読み下さい。

 筋腫には、とても有効なUAEですが、腺筋症には、あまり有効とは言えない
ようです。杏林大学医学部産婦人科学教室の中村幸雄氏らの発表「子宮筋腫
に対する子宮動脈塞栓療法 −その理論と今後の問題点」(895ページ)で、

 子宮腺筋症に対して子宮動脈塞栓術を行うと一時的に子宮容積は縮小し、
月経痛などの症状も軽減するが、数ヵ月後には子宮容積、症状ともに元に
戻ってしまうことが経験される。子宮腺筋症組織は周囲の正常子宮組織と明瞭な
区別がなく、骨盤血管造影でも子宮全体の血管が造影され子宮腺筋症の栄養
血管は同定されない。子宮腺筋症では、栄養血管は正常子宮組織と同様に子宮
動脈以外の他の血管からも受けているため、子宮動脈塞栓術を行っても子宮筋腫
のように変性、縮小は起こらないと考えられる。

 と、UAEの適応には、ならないと考えているようです。杏林大学に限らず、腺筋
症をUAEの適応としない病院も多いようです。 

 手技の実際と術中管理、術後管理と合併症、症例検討、また患者の立場から
ということで、954ページ〜963ページにわたり、筋腫でUAEを受けられた東千リ
さんが、「患者の立場から」という題名で、体験談を寄せておられます。
 東さんは、その後、UAEの体験を生かされて、EMBO FORUMを立ち上げて
られていらっしゃいます。この体験談は、彼女のホームページ上に掲載されている
ものに、加筆したものです。

 UAEのホームページとして、有名なサイトなので、皆さん、ご存知だと思います。
一応、ホームページのアドレスとメーリングリストのアドレスを書いておきます。
どうぞ参考になさって下さい。

 ◆  UAE体験者のホームページ

 http://www.3ocn.ne.jp/^embo/

 ◆  EMBO FORUMメーリングリスト

 http://www.egroups.co.jp/group/emboforum


★ 創元社刊 

榛原総合病院放射線科医長 加藤 肇著
    ISBNコード 4−422−41060−1 定価 本体1200+税 126ページ

      『子宮筋腫 切らずに治せるUAE(子宮動脈塞栓術)』

 UAEに関して、具体的な記述があります。UAEに関心がおありの方は、そんなに高くも
ないので、一冊買って読んでみて下さい。

    もくじ

  第一章 子宮筋腫の基礎知識
  第二章 新しい治療法UAE
  第三章 UAE体験 

 ここでは、第二章 新しい治療法UAE 54ページ〜55ページを抜粋してみます。
UAEの実際2−−−入院と榛原総合病院のクリニカルパス(スケジュール表)です

 入院するのは、UAE前日の午後で、入院期間は、4日〜7日間です。入院した日に放射線科医
が、UAEについてあらためて説明し、治療計画、検査、手術などについて書かれた入院診療計画
書を手渡します。そして患者さんに十分な説明をしたうえで治療に同意する旨の同意・承諾書に署
名をしていただきます。そのあと看護師から入院に際してのオリエンテーションがあります。看護上
必要なことについて、患者さんに質問と説明を行ないます。入院中のことに関して疑問があれば、
このとき看護師にたずねて下さい。

● 前日に術前検査

 オリエンテーションと並行して、術前検査として血液検査と尿検査、そして抗生剤のアレルギー検
査を行ないます。
 血液検査は、ウイルス肝炎の有無や、肝・腎機能、卵巣のホルモン機能などを確認するための
もの。また、妊娠しているとUAEはできませんので、尿検査で妊娠反応を調べます。UAEでは、
感染予防のために抗生剤を使用しますが、この薬をごく少量腕の皮下に注射して、アレルギー
がないことも確認します。また、前日からの診療内容については、病室に個々のクリニカルパス
が置かれるので、それで確認しておきましょう。

<UAEの流れ>

外来診察 ○入院手続き(MRI検査
        ↓
入院    ○術前検査
        ↓
UAE    ○術前検査○血管造影室へ移動○血管造影検査○子宮動脈の塞栓
        ○集中治療室へ移動○病室へ戻り経過観察○術後の検査

        ↓
退院     ↓○入院から退院までの期間は、4日から7日間
外来での経過観察 

 <クリニカルパス

月日 (/) (/) (/) (/) (/) (/) (/) (/)
病日 前日 UAE当日 術後1日 術後2日 術後3日 術後4日 術後5日 術後6日
飲食 制限なし
安静度 制限なし 術前は制限なし・
術後2時間はテープ圧迫で絶対安静。以後、6時間
は、ベッド上安静。
制限なし
清潔
排泄
入浴可
トイレ
術後はベッド シャワー
トイレ
全身
管理
血圧
検温
術後から夕方までICUでモニター
(自動血圧計
・酸素飽和度・
心電図)
呼吸数(1時間毎)・検温
薬剤 オーツカCEZ
(抗生剤)1g点滴

当日1回(夕)、翌日2回
生食1000cc+ラシックス1A点滴(翌朝9時まで)
硫酸アトロピン1A静注
(血管造影室まで)
PCAポンプでPCA静注
(翌朝9時まで)
アンペック(50)2A+セレネース1A+ロルファン2A+硫酸アトロピン6A+生食80cc
芍薬甘草湯3P3X・修治ブシ末1.5g 3× 術前より経口・食間 10日間(鎮痛剤)
疼痛時 PCA静注 ボルタレン(25)座薬(解熱・鎮痛剤)・頓用 6時間あけて
嘔気時 プリンペラン1A静注(6時間あけて) プリンペラン1A筋注(6時間あけて)
便秘時 プルゼニド1T経口・頓用
発熱時 クーリング
不眠時 マイスリー1T経口・眠前
検査 血液検査・尿検査・
抗生剤皮内テスト(オーツカCEZ)
血液
検査
MRI
(造影)
治療処置 子宮動脈塞栓術
(UAE)(病棟)手術着・アンギオパンツ・バルーン留置
(血管連続撮影室)
点滴術後2時間でテープ圧迫解除・
パンツ着替え
朝9時バルーン抜去
PCAポンプ
off
説明 術前説明 術後
説明

        



【 永井書店 「産婦人科治療」 2003年 vol.86 no.3 平成15年3月1日発行
 ISSN 0558−471X   定価 2,400円+税  

    特集 子宮筋腫の管理 
      P312〜P317 「子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術」より抜粋しました。】
杏林大学医学部産科婦人科教室
  
  中村 幸雄*    安藤 索 **      葉梨 秀樹
  鈴木 典子     葉梨 満礼        百村 麻衣
    
    *教授 **講師 


【はじめに

 1995年代にRavinaらが、子宮筋腫に対して骨盤血管造影下に子宮動脈塞栓術
(uterine artery embolization:UAE)を施行し、手術せずに筋腫核を縮小し得たことを
報告した。日本では1999年済生会滋賀病院放射線科の勝盛らが、産婦人科では、2000
年に曽山嘉夫らによる子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術を開始した。


 産婦人科、放射線科両科の密接な連係のもとに週2〜4例のペースで行っており、最近で
は近隣の関連病院である久我山病院でも週1〜2例の子宮動脈塞栓術を行っている。
2002年末までには両院合わせて150例を突破した。

【適  応】

 子宮筋腫による圧迫症状、疼痛、貧血、出血などの症状を有する症例で、手術適応あるも
手術を望まない症例、ハイリスク症例を主なる対象とした。

【禁   忌】

 子宮動脈塞栓術の禁忌としては、妊娠。骨盤内炎症の急性期、悪性腫瘍の存在や造影剤
の強度のアレルギーが挙げられる。妊娠を希望する症例に対しては、その賛否に関しては
結論は得られていない。しかしわれわれは挙児希望者であっても事前に十分な説明と了解
のうえ子宮動脈塞栓術を積極的に行っている。

 粘膜下筋腫(子宮内腔に突出する筋腫あるいは筋腫核が子宮内腔に突出していないが、
子宮内腔に接する筋腫も含めて)では、後述するごとく、術後変性した筋腫核の感染を起こし
やすい。粘膜下筋腫筋に子宮動脈塞栓術を行う場合は、レゼクトスコープ下で感染した筋腫
摘出ができる設備と技術を有する施設でのみ子宮動脈塞栓術は行われるべきである。

【方   法】

 1.術前検査および術後のフォローアップ
 
  手術前検査として、一般抹消血検査、凝固機能、生化学検査、感染症の有無などの
 検査のほか、超音波断層法、CTなどの画像診断を行う。とくにMRIは子宮筋腫の存在部位、
 大きさ、数をチェックするための必須の検査である。悪性腫瘍の除外も必要である。

   術前後のスケジュールは、看護サイドに余裕がない杏林大学病院では前日入院、
 久我山病院では術当日入院、術後翌日退院としている。1〜2日間の入院中の費用は
 健康保険が適応されないため、すべて自費となり約39〜45万円の自己負担となる


 2.子宮動脈塞栓術の方法

  通常右鼠径部より右大腿動脈を穿刺し4〜5Frのシースを挿入、シェファードフックカテーテル
 を左総腸骨動脈から左内腸骨動脈へと進め、その後子宮動脈へマイクロカテーテルを挿入する。
 できるだけ筋腫核のみが造影される部位でカテーテルを固定し、造影剤とともに塞栓物質を
 注入する。血流の遮断、すなわち筋腫が造影されなくなったことを確認したら、次に右に移る。
 シェファードフックカテーテルを右内腸骨動脈に移し、右子宮動脈までマイクロカテーテルを
 進め、筋腫核のみが造影されたところで塞栓物質の注入を行う。塞栓後造影剤を注入して筋腫
 が造影されないことを確認する。
  通常、両側の子宮動脈塞栓術に要する時間は、約1時間である。

 3.塞栓物質
 
  塞栓物質としては吸収性物質と非吸収性物質に分類されるが、われわれは低コストで入手も
 可能な吸収物質であるゼラチンスポンジ(ゼルフォーム、スポンジェル)を砕いて使用している。
 
ゼラチンスポンジは体内では1〜4週間で液化吸収されるといわれている。


 【術後疼痛に対する対策

  筋腫が塞栓されると同時に、6〜12時間持続する強度な月経痛様の疼痛を訴える。疼痛は
  筋腫に対する虚血効果から発生しているものと考えられ、程度は個人差があるが、多くの
  場合、何らかの鎮痛対策が必要である。硬膜外麻酔を行えば完全に疼痛をコントロール
  できるが、操作、管理が煩雑であるため、われわれは塩酸モルヒネの持続皮下投与にて
  疼痛コントロールを行っている。PCAポンプ(patient-controlled analgestic pump:
  バクスターインフューザー)に塩酸モルヒネ40〜50mg、ドロペリドール5mgを生理食塩水
  にて希釈し20mlとして、0.5ml/hrにて、塞栓術開始2時間前より皮下投与を行う。疼痛
  の強度によっては、さらにNSAIDs(non-steroidal anti-inflammatory drugs)を併用する。
   術後翌日には、症状が改善している場合が多く、診察後に退院、以後外来にて経過観察
  を行っている。その際、3〜5日分の抗生物質と消炎鎮痛剤を処方している。


 【効  果

  1999年12月より2000年5月までわれわれの施設で行った子宮動脈塞栓術症例、平均
 年齢39.8±0.7(24〜50歳)について、その結果をみると、

 1. 縮小効果

    MRIで見た子宮体積(3方向の最大径をおのおのA,B,CとしてA×B×C×π/6を
   もって体積とした)の縮小率をみると、3ヶ月後には元の体積の74.1±4.8%、6ヶ月後
   61.2±5.5% 、12ヶ月後52.5%±6.3%、18ヶ月後39.9±5.7%と有意に縮小
   した。MRIで見た子宮筋腫核は、3ヶ月後には元の体積の53.6±43.4%、6ヶ月後
   41.3±54.2%、12ヶ月後32.8±5.7%、18ヶ月後37.3±20.9%と縮小し、縮小は
   ほぼ12ヶ月でピークに達し、その後は変化は見られない。

    著しい例としては、術前の筋腫核の体積を100%とすると、この症例では1年後には、8.7%
   と著しい縮小を示し、月経痛、過多月経などの症状は消失した。筋腫核の再発(増大)は、
   わが国の報告でも、またフォローアップ期間の長い欧米の報告でも認められない。

 2.過多月経、月経痛に対する効果

    表1に示すごとく過多月経、月経痛ともに、すでに塞栓術後3ヶ月より70%〜80%の
  症例で軽減されている。

     表1 子宮動脈塞栓術後の臨床症状の改善

過多月経 月経痛
3ヶ月 48/61(78.7%) 48/56(85.7%)
6ヶ月 33/42(78.6%) 29/47(61.7%)
12ヶ月 15/21(71.4%) 33/37(89.2%)


 【挙児希望に対する子宮動脈塞栓術】

 挙児希望者がある比較的若年者に対する子宮動脈塞栓術の施行は、歴史の長い欧米でも
フォローアップ期間が10数年と短いため、その適応、安全性に対する意見は一致していない。
しかし、欧米では32例の妊娠、9例の分娩の報告などが見られており、わが国でも最近妊娠、
分娩例の報告が見られ、われわれも2002年6月無事経膣分娩した1例を体験している。

 また手拳大筋腫があり胎児心拍が証明される前に2回流産した症例に子宮動脈塞栓術を
施行後8ヶ月に自然妊娠し2002年12月現在妊娠10週にて経過順調の症例を体験している。

 筋腫核以外の正常子宮内膜、子宮筋層などの組織は梗塞による影響はほとんど受けないため
、着床、妊娠過程に障害を与えないと考えられる。現在われわれは、念のため術前に十分な説明
と了解を得た後に子宮動脈塞栓術を行っており、その症例数は現在まで15例に達している。

 【子宮腺筋症に対する子宮動脈塞栓術】

 腺筋症に子宮動脈塞栓術を行うと子宮の容積は一時的に縮小し、月経痛などの症状も軽減する。
しかし腺筋症は、子宮筋腫と異なり、栄養血管はほかの子宮組織と同様に子宮動脈以外の動脈
から豊富に受けているためか、術後子宮の容積は再び増大していく場合が多い。
したがって子宮
動脈塞栓術の効果は一時的と思われるが、今後症例を増加してさらに検討が必要と思われる。

 【副 作 用】

 1.疼  痛

  塞栓物質が注入された直後より、激しい月経痛様の下腹痛を訴える。疼痛を認められた症例には
われわれは前述のごとく、塞栓術施行2時間前よりPCAポンプや、NSAIDsを併用する。

 2.発熱、感染

  術後翌日に、白血球数、CRPの上昇を示すが、1週間後には正常化する。念のため抗生物質、
鎮痛剤を数日分投与している。ごく稀に梗塞効果が劇的で1ヶ月後のCTにて筋腫核内にガスが
見られ、発熱疼痛のため数日間の入院加療を必要とした症例もある。粘膜下筋腫の症例では、
術後1ヶ月頃より筋腫核が膣内に娩出されることも少なくない。また筋腫核の子宮腔内への凸出
のため変性した筋腫核は感染を起こし、悪臭をともなう大量の帯下、高熱と下腹痛を訴える場合が
ある。術前に明らかに筋腫核が子宮内腔に凸出しているような症例は筋腫分娩として排出される
ことが多く問題は少ない。
 
 術前に筋腫核が子宮内腔に凸出していないが、子宮内腔に接しているような症例では、塞栓術
によって、著しい筋腫核の縮小とともに変性した筋腫核が子宮内腔に凸出し、感染を起こす可能性
が極めて高いので厳重な注意が必要である。これらの症状が見られたら、ただちに抗生物質投与
を開始するとともに、経膣的に掻爬または、レゼクトスコープ下に変性した筋腫核の摘出(TCR
,Trans Cervical Resection)が必須である。

 3.その他

  造影剤アレルギー、穿刺部の血腫、術後のAsharman症候群などの報告も見られるが、
われわれは経験していない。

 【子宮動脈塞栓術のメリット、デメリット】 


 メリットとしては、@子宮温存,A開腹手術に比べ、低侵襲,B入院日数の短縮,
C再発を認めない、などがあげられる。
 デメリットとしては、@塞栓術後の疼痛,A縮小まで時間を要する,B健康保険の
適応がない
、などがあげられる。


 IVR会誌より、下記に抜粋します


 一般演題 9 塞栓術 (腫瘍) ★

 発表者>

 
山近記念総合病院 外科 同産婦人科 佐藤 哲也氏・井上 康一氏・
                          
誠 勉氏・杉田 輝地氏・
                          
安達 英夫氏
 東京大学分院 放射線科        
 岡田 吉隆氏
 山王病院産婦人科 
            本田 育子氏・小林 善宗氏
     リプロダクションセンター      
井上 正人氏


[目的] 有症状の閉経前子宮筋腫24例、子宮腺筋症10例計34症例にUAEを
施行し3〜15ヵ月の経過観察をし得たので、その塞栓物質、臨床効果について
検討する。

[対象] 子宮筋腫24症例の内訳は41〜51歳(平均46.5歳) 全員が
過多月経・生理痛・貧血(平均Hb7.5g/dl)、及び圧迫症状を有し、内3例
は過去に筋腫核出術の既往があり、半数以上がホルモン治療の経験を持つ
(挙児希望3例)。
子宮腺筋症10症例の内訳は34〜51歳(平均43.5歳)
全員が強度の月経困難症、貧血(平均Hb8.0g/dl)を有し、ホルモン治療
に効果なく子宮全摘術を勧められている(挙児希望3例、エホバの証人2例)。

[方法] 34症例全例にUAE後の阻血による疼痛対策として、持続硬膜外
麻酔を併用。右鼠径部穿刺(4Frコブラ型カテーテル、メディキット社)で両側
子宮動脈造影後、直ちに塞栓に移った。塞栓物質は初期の数例と挙児希望
例計11症例にスポンジゼル細片(500μm)を子宮動脈本幹が停滞するまで
に注入し、最後に035coilにて本幹を塞栓した。スポンジゼル細片の使用量
は平均10ml、035coilは両側で3〜4本使用した。その他の23症例はPVA
(500〜710μm)を子宮動脈本幹が閉塞するまで注入梗塞した。PVA使用
量は平均4V(4ml)であった。
UAE所用時間は30〜1時間半であった。
又子宮内膜炎予防の為、術前より術後2日間、抗生物質を経静脈的に投与
した。術後の治療効果判定の客観的評価はダイナミックスタディを含む
MRIを
術前、術後3ヵ月、6ヵ月、1年目に施行した。

[結果]片側のみのUAEとなったもの2例を除き、全症例両側UAEが可能で
あった。術後疼痛、塞栓後症候群の軽快をもって退院した。

(平均入院日数4.5日)

 子宮筋腫・術前ダイナミックMRIにおける子宮筋腫の増強効果は強弱様々
であったが、いずれも術後3ヵ月で全く増強されない境界明瞭な低信号域に
変化した。容積縮小率は、3ヵ月で48%、6ヵ月で62%、1年で70%であ
った。貧血は24症例全例で3ヵ月以内に改善され造血剤不要となった。
UAE後の無月経はPVA塞栓術の47歳女性1例のみで、挙児希望例を含め
た23症例で3ヵ月以内に正常の月経が再来している。自覚症状は全例で
ほぼ3ヵ月以内に消失しており、15ヵ月の経過観察で筋腫の再増大は認め
られない。
 
子宮腺筋症:術前ダイナミックMRIにおける子宮腺筋症の増強効果は非常
に強いが、術後は子宮筋腫同様に境界明瞭な低信号域と変化するものから
様々であった。容積縮小率は30%、6ヵ月の縮小率は少なかったが、挙児希
望3例を含め全例3ヵ月以内に正常月経になり、月経困難症も改善され患者の
満足度は非常に高かった。1年経過したものも含め再燃は認められていない。

[考察および結論] @塞栓物質の違いにより治療効果に差はなかった。PVA
塞栓例で術後無月経が1例認められたことにより、特に挙児希望例には一時
的塞栓物質スポンジゼルの方が良いと思われた。
A子宮筋腫の大きさによる治療成績の差はなく、巨大筋腫でも同様の縮小率
であり圧迫症状の改善は著明で、子宮筋腫に関してはUAEは確立された治療
法と考えられた。B
子宮腺筋症のUAE報告例は少なくても禁忌とする施設でも
あるが短期に限って言えば自覚症状の改善は著明であり、確実な両側子宮動
脈塞栓を施行すれば子宮全摘術にかわる治療法となり得るものと思われた。

C
妊孕能の問題に関しては、筋腫核出術が不可能な子宮筋腫や重症の子宮腺
筋症で子宮全摘術しか残されていない場合に限って
、不妊治療を専門とする産
婦人科医と共に厳格な適応を決め症例を積み重ねていくつもりである。

 

尚、もっとこの子宮動脈塞栓術(UAE)について関心をお持ちの方は、以下の
ホームページを訪問してみて下さい。
 また、お近くの大学医学部の図書館などで、IRV会誌などに目を通されるとよい
と思います。
 同様に、パソコンの検索を使ってUAE関連のHPを調べてみてもよいでしょう。


  http://www3.ocn.ne.jp/~embo/


 参考図書

     (IVR会誌増刊号 Vol15 第29回日本血管造影・IVR学会総会抄録集 
      P77
 『45.子宮筋腫および子宮腺筋症に対する子宮動脈塞栓術(UAE)の
      検討』より抜粋しました
。)


2002年4月10日 読売新聞朝刊に、以下のようなUAEの記事が
  掲載されていました。

 
  ● 子宮筋腫 切らずに治したい


         兵糧攻め 子宮は温存

 神奈川県の主婦A子さん(40)は、七、八年前から、生理のたびに多量の出血
に悩まされた。生理以外にも出血があり、外出の妨げになるほど。
検査で、最大八センチの子宮筋腫が計三個見つかった。小中学生の二人の子供
がいるので、主治医から「取ってしまえばいい」と子宮全摘手術を勧められた。もう
子供を作るつもりはないが、子宮を取ることには抵抗があったAさん。知人に切らず
に治す新しい方法がある」と聞き、一昨年、川崎市立井田病院で「動脈塞栓療法」
を受けた。子宮を温存したまま、月経のたびの症状と決別できた。

 川崎市立井田病院放射線科医師の瀧康紀氏によると「多くの場合、
次の月経時の出血や痛みが大幅に緩和される。
一年後には、筋腫
半分以下に縮小する」そうです。入院は一週間程度

 東京の赤坂の山王病院産婦人科部長の本大郁子氏によれば「治
療で子宮内膜にダメージを与えることが考えられる。まだデータ
不足で明言できないが
妊娠しにくくなる可能性が高い。ただ、治
療後に妊娠した女性もいる。筋腫が不妊の原因になっている場合
、治療で妊娠しやすくなることもあり得る」という。

 まだ実施している病院は少ないが、杏林大学医学部教授の中村
幸雄氏は、この動脈塞栓療法が「今後、子宮筋腫治療の大きな柱
になる」と話す。ただ、今のところ保険が使え
ず、
自費診療で40
万円程度
かかる。再発の恐れは少ない



  子宮筋腫の動脈塞栓療法が受けられる主な病院  
病院名 所在地
慈恵医大病院 東京都港区
慈恵医大青戸病院 東京都葛飾区
杏林大病院 東京都三鷹市
山王病院 東京都港区
川崎市立井田病院 神奈川県川崎市中原区
山近記念総合病院 神奈川県小田原市
モルクリニック(産婦人科) 神奈川県横浜市
葉山ハートセンター(UAEセンター) 神奈川県三浦郡葉山町
湘南鎌倉総合病院(産婦人科) 奈川県鎌倉市
榛原総合病院(放射線科) 静岡県榛原郡榛原町
りんくう総合医療センター市立泉佐野病院 大阪府泉佐野市
松原徳州会病院 大阪府松原市
済生会滋賀県病院 滋賀県栗東市
倉敷成人病センター 岡山県倉敷市
香川医大病院 香川県三木町
高木医院 福岡県大川市
佐賀医大病院 佐賀市
鹿児島大病院 鹿児島市
NTT西日本九州病院(産婦人科) 熊本県熊本市